HARUさんの絵本の時間 #3 うれしい春の訪れ 『はなをくんくん』



THE HAPPY DAY! 

『はなをくんくん』
作/ルース・クラウス、絵/マーク・シーモント、訳/きじまはじめ、福音館書店、1967年

あらすじ


雪深い森の中、動物たちはぐっすりとねむっています。
野ねずみも、くまも、小さなかたつむりまで、みんなぐっすり。

すると、目を覚ましたみんなは鼻をくんくんさせて雪の中へ向かっていきます。
みんなが集まって、踊り、笑った場所には…
春の訪れを告げるいい香りの正体があるのでした。

寒い冬の中で、春の訪れを見つける喜びを感じて


はじめ、雪の中で過ごす動物たちはモノクロで描かれています。
寒い冬の中で際立つ、動物たちの暖かそうな毛なみを黒々と(でもふんわりと−なんだか質感まで伝わってくるようなのです!)、そしてしんしんとふりつもる柔らかな雪を白が、秀逸に表現しています。

白黒の2色なのに、動物たちの動きや表情は雄弁で、寒い冬の中で織りなされるやりとりに引き込まれていきます。そして最後には、春の訪れの象徴として雪の中に咲く一輪の花のイエローが暖かに引き立つのです。

原書のタイトルは、実は「THE HAPPY DAY」。

まだまだ寒い中で春を見つける喜びは、その日1日を「HAPPY」な日にしてくれるはずです。

大人は花粉、で春を体感しつつも、日々の営みの中で少しずつ出会う春の兆しに嬉しくなる今日この頃ですね。梅の花とともに、桃の花も色鮮やかに咲く様子を見かけるようになりました。我が家でも、先日はふさふさと芽吹く時を待っている冬芽を見つけて親子で暖かな春の訪れへの期待感をふくらませました。

くんくん、春の香りが漂ってくるのもきっともうすぐ。春への期待感を胸に、みなさんどうか「HAPPY」な日々をお過ごしください!

絵本専門士 藤井遥 

(2023/3/2 メルマガ原稿より)

●コクリエでは HARUさんをお招きして 毎月 大人のための絵本の会を開催しています。もっと話を聞いてみたい、絵本専門士さんや絵本好きな人たちと話をしたいという方はぜひ体験でいらしてみてくださいね。